2011年の歯科業界を予測する

2011年01月01日 (土)

コラムテーマ:
開業

あけましておめでとうございます。


船井総合研究所  歯科経営コンサルタントの松谷直樹 です。


2011年の歯科業界がどのようになっていくのかを考えたいと思います。


まず、これまでの歯科医院経営の歴史を考えてみます。


歯科医院経営における成功モデルは2000年代から

大きく二つに分けられると私は考えています。


1パターンは、「フルライン型歯科医院」でした。

フルライン型とは診療科目をより多く取り揃えることです。。

インプラント、義歯、矯正、補てつ、ホワイトニング、口臭治療、

歯周病といった治療科目を増やし、小児から老人までの幅広い患者層

を対象とすることで、患者数が増えやすい医院作りができました。


もう1パターンは、「患者対応・サービス重視型歯科医院」です。

患者対応・サービス重視型歯科医院とは各種の医院来院への

敷居を下げるような取組みにより患者との関係性強化に取り組むことで

来院促進できる方法でした。


歯科医院は元々「行きたいところ」ではないため、楽しさ、患者との

コミュニケーションを打ち出すことで、患者層を広げることに成功してきました。


例えば予防歯科を強化することで、定期来院患者を増やすことで、

患者とのコミュニケーションを深め、口コミを広げる。

患者向けクリスマスイベントを行うことで、歯科医院という存在を患者側に近づける。


両パターンに共通していることは、患者が増えることで、

チェアを増大し、スタッフを増やすことになった点です。


結果的に売上向上に対して、人件費も向上し、

利益率が低下する。ということになりました。


しかし、これらの成功モデルは今でも増患対策としては今後も有効であり続けるでしょう。


一方で、上記のようなスタイルは一般的になりつつあり、

独自のスタイルではなくなってきたこと、

利益を圧迫し、医院経営が苦しくなってきたことに多くの医院は

気づいておられることと思います。


患者は多いが利益が少ない、という事象が起こってしまう。

このステップからレベルアップしていこうと考えると、

新たな歯科医院モデルを考える必要があります。


数値的な側面から考えると自費率を伸ばすことが正解でしょう。


しかし、自費率を伸ばすことは手段であって目的ではない。

今年の目標をインプラントを増やす、と考えるのは間違っていはいないが、

「何のために」インプラントを増やすのかを考えなければなりません。


自費率を伸ばすことは、患者にとって何の関係もないことです。

インプラントが多いことは医院にとっては良いことかもしれないが、

患者にとってはインプラントが定着し、10年以上維持することが最重要課題でしょう。


自費率が高いのはあくまでも結果である、と考えます


改めて歯科医院経営の原理原則に戻ることだと思います。


歯科医院経営の原理原則とは「より高い治療技術を患者さんに提供し、

満足し、喜んでいただくこと」だと私は思います。


極論すればサービスや接遇がどれだけ良くても

治療技術が低い歯科医院には、通いたいとは思わないでしょう。


しかし、高い治療技術を提供するためには、

医院に継続的に投資することが必要になります。


投資とは様々な投資が考えられます。


例えば、技術セミナーへの出席、最新の設備への投資、スタッフへの投資、

ノウハウやソフトへの投資・・・


これらの投資を行い、地域で一番の技術・サービスレベルを整えていこうとすると、

特定の分野に集中することが必要になるでしょう。


もちろん、お金と時間と人材が潤沢にあれば、

全ての分野のクオリティを向上させることが理想です。


そのような医院も存在するだろうが、一般的には1名のドクター・院長が

医院を運営している場合全ての分野というのは現実的には難しい。


なぜなら時間は有限だからです。

有限の時間を全方位に使用すると分散してしまうということです。


例えば、インプラントという分野で地域一番になろうとすると、

その分野の先行者に追いつくことを想定してみていただきたい。


例えば患者サービスという分野で一番になろうとすると、

従業員教育に時間を最大限費やすこと、

採用力のブランディングが必要になります。


従って、ベーシックなレベルは全てクリアした上で、

最も効率的なのは特定の分野に自院の独自の長所を作っていくことだ

と考えます。


それでは自院にとっての特定の分野というのは何か、を見つけなければなりません。


ヒントは、治療別に考える、ターゲット別に考えるということです。


例えば、治療別にはインプラント、義歯、補てつ、ホワイトニング、

歯周病、矯正、口臭治療など・・・

ターゲット別には、シニア層、成人女性層、小児層などが考えられます。


他にも専門医が多数在籍する、スタッフのロイヤリティが高い

など様々な医院の長所を作ることができるでしょう。


経営的な側面から考えてきたが、常に変わらず忘れてはならないのは


「高い治療技術を患者さんに提供し、満足し、喜んでいただくこと」

という歯科医院経営の原理原則です。


この歯科医院経営の原理原則を押さえた上で、周りの状況を正しく捉え、


更なるステップアップのために、今年1年を有意義に使っていただきたいと思います。


そして各医院様が独自の長所を持つことでそれぞれが患者さんに

支持される医院になり歯科業界が盛り上がっていくことが大切だと考えています。

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ブログ内容へのご質問、歯科医院コンサルティングの質問等は下記アドレスまでお願いいたします。

matsutani@funaisoken.co.jp

◾️この記事を書いたコンサルタント

松谷 直樹

プロフィール詳細

売上、利益の向上を大切にしながらも、「本当に患者さんに喜んでもらえる歯科医院作り」をコンサルティングの第一の目的に している。 「歯科医院は患者さんに喜んでもらえるためにある」「経営ノウハウは患者さんに喜ばれるような歯科医院作りのために活用するべきだ」という信念を元にコン サルティングを実施。 実現可能な提案と口頭だけでなく提案内容を実際に現場に落とし込み、実行するコンサルティングのスタイルを実行している。

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

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