新 医療広告ガイドライン(2018年6月1日 施行)で歯科医院が気をつけるべきポイント

2018年05月13日 (日)

コラムテーマ:
院外マーケティング

皆さま、こんにちは。
船井総合研究所 歯科医院経営コンサルティングチームの小川 純平(オガワ ジュンペイ)でございます。
 
2018年5月8日付で厚生労働省より、医療機関の広告指針として
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000205362.pdf

が策定されました。
 
今回の医療広告ガイドラインの策定にあたり、
医療機関のホームページ の内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)が廃止され、
医療広告に関する指針は今回の医療広告ガイドラインに統合される形となりました。
今回の医療広告ガイドラインで歯科医院が注目すべきは以下の2点になります。
 
①医療機関のウェブサイト等についても、虚偽・誇大等の不適切な表示を禁止し、中止・是正命令及び罰則を課すことができるよう措置されるようになった点
②患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の全面禁止。治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の限定解除
 
になります。
 
①について。今回の医療法一部改正の意図には、急速に発展・競争激化する医療機関のインターネット戦略に伴い、消費者センター等に寄せられる美容医療に関する相談件数が増加していることが背景にあります。
(以下引用)医療機関のウェブサイトについては、原則として、規制対象とせず「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)について」(平成 24 年9月 28 日付け医政発 0928 第1号厚生労働省医政局長通知)により関係団体等による自主的な取組を促してきた。 しかしながら、美容医療に関する相談件数が増加する中、消費者委員会より、医療機関のウェブサイトに対する法的規制が必要である旨の建議(美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・ 同意に関する建議(消費者委員会平成 27 年7月7日))がなされた。同建議を踏まえ、平成 29 年の 通常国会で成立した医療法等の一部を改正する法律(平成 29 年法律第 57 号)により医療機関のウェブサイト等についても、他の広告媒体と同様に規制の対象とし、虚偽又は誇大等の表示を禁止し、是正命令や罰則等の対象とすることとした。(引用終わり)
 
今まで自主的な取組に留めていた医療機関のウェブサイトですが、今回の医療法一部改正により、是正命令や罰則等の対象になります。
そのため、今回の規制を歯科医院を経営されている皆さまはよりシビアに受け取る必要があります。
具体的な規制内容としては、前回の医療広告ガイドラインの内容とほとんど変わりありません。
【※詳しい対策は過去の私の記事をご覧ください】
/medical-advertising/
②について。しかしながら、今回の医療広告ガイドラインにて、特に強調されている2点の変更点がございます。それが
・患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の禁止
・治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の限定解除
になります。
 
患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の禁止について、医療広告ガイドラインでは以下のように書かれております。
 
(以下引用)医療機関が、治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族 等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介することを意味するものであるが、こうした体験談については、個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められないものであること。 これは、患者の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、広告は認められない。 なお、個人が運営するウェブサイト、SNS の個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しないこと。(引用終わり)
 
まず、医療機関がウェブサイトに載せる、いわゆる患者様の声・体験談・手紙といったコンテンツは、今回のこの内容からも禁止ということが分かります。
また今回、第三者が運営する口コミサイト等への体験談の掲載についても、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められた場合は広告になります。
これはアフィリエイターや、インフルエンサ―マーケティングの禁止を意味していると考えられます。
また、患者様から収集したアンケート用紙を料金を支払って掲載するような仕組みの歯科医院の口コミサイトも存在しますが、そういった口コミサイトは今後規制されていく可能性があります。
 
治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の限定解除については、医療広告ガイドラインでは以下のように書かれております。
(以下引用)いわゆるビフォーアフ ター写真等を意味するものであるが、個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるも のであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められないものであること。 また、術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主 なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらないものであること。 さらに、当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例 えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな 文字で掲載したりといった形式を採用しないこと。 なお、治療効果に関する事項は広告可能事項ではないため、第4に定める要件を満たした限定解除の対象でない場合については、術前術後の写真等については広告できない。
【具体例】 ・ 術前又は術後(手術以外の処置等を含む。)の写真やイラストのみを示し、説明が不十分なもの(引用終わり)
つまり、今回のガイドラインの策定により、ビフォーアフターの画像については然るべき要件を満たしていれば、掲載が可能となりました。
 
この新 医療広告ガイドラインは2018年6月1日施行されます。
歯科医院を経営されていらっしゃる皆様は今一度、ご確認と修正をお願いいたします。
 
(株)船井総合研究所 小川純平

◾️この記事を書いたコンサルタント

小川 純平

プロフィール詳細

立教大学法学部卒業。
船井総合研究所 最優秀新人賞。
入社後は主に集客(集患)・採用のWebマーケティングに従事。
Webマーケティングにおいては社内トップクラスの知識・ノウハウを有しており、歯科専門コンサルタントでありながら、他の業界からの引き合いも多く、あらゆる業種において即時業績アップに貢献。
患者ニーズ・行動心理を把握したマーケティング戦略を得意としている。
クライアントには十億円規模の医療法人も複数おり、歯科業界を代表するマーケッターとして活躍している。

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

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