2016年診療報酬改定におけるかかりつけ歯科医の位置づけ

2016年01月23日 (土)

コラムテーマ:
診療報酬改定・保険改正

みなさんこんにちは。
歯科医院経営コンサルティングチームの松谷直樹(まつたになおき)です。
 
今日は今年度の診療報酬改定における「かかりつけ歯科医」の
位置づけについて考えてみたいと思います。
平成28年1月13日(水)に平成28年度診療報酬改定に係る
これまでの議論の整理(案) 骨子が示されました。
今後個別の診療報酬が設定されていくかと思いますが、
現時点で私が思いますことをまとめてみたいと思います。
 
この骨子には4つの視点が示されています。
Ⅰ 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
Ⅱ 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点
Ⅲ 重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点
Ⅳ 効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点
 
特に歯科においては
Ⅰ 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
の中に
Ⅰ-3 地域包括ケアシステム推進のための取組の強化について
Ⅰ-3-1 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の 機能の評価について
という項目にかかりつけ歯科医というキーワードが出てきています。
 
さらにこの中を細かくみますと
(3) 地域包括ケアシステムの中で地域完結型医療を推進する上で、定期的・継続的な口腔管理によ
り口腔疾患の重症化を予防し、歯の喪失リスクの低減を図るかかりつけ歯科医の機能を評価するた
め、以下のような見直しを行う。
① エナメル質初期う蝕に対する定期的かつ継続的な管理を評価する。
② 歯周基本治療等終了後の病状安定期にある患者に対する定期的かつ継続的な管理を評価する。
③ 口腔機能の低下により摂食機能障害を有する在宅患者に対する包括的な管理を評価する。
また、
Ⅱ 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現す
る視点
Ⅱ-1 かかりつけ医の評価、かかりつけ歯科医の評価、かかりつけ薬剤師・薬局の評価について
 
という項目にもかかりつけ歯科医というキーワードが出てきています。
かかりつけ歯科医というテーマを考えれば訪問歯科という分野を無視して考えることはできないと思いますが、
この訪問歯科という部分においても比較的細かな骨子が出ています。
具体的には、
 
Ⅰ 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
Ⅰ-4 質の高い在宅医療・訪問看護の確保について
(8) 歯科における効率的で質の高い在宅医療の提供体制を確保するため、以下のような見直しを行
う。
① 在宅を中心としつつ、地域の病院等とも連携して歯科訪問診療を実施している歯科診療所を評
価する観点から、在宅かかりつけ歯科診療所加算の施設基準及び名称の見直しを行う。
② 口腔機能が低下し摂食機能障害を有する患者に対する口腔機能の管理について、包括的な評価
を行う。
③ 歯科訪問診療料について、歯科訪問診療の実態に即したものとするため、以下のような見直し
を行う。
ア 同一建物で1人に対して歯科訪問診療を行う場合において、患者の全身状態等により診療時
間が20分未満となる場合の評価を見直す。
イ 同居する同一世帯の複数の患者に対して診療をした場合等、同一の患家において2人以上歯
科訪問診療を行った場合の評価を見直す。
ウ 歯科訪問診療を行う歯科医療機関と「特別の関係」にある施設等に訪問して歯科訪問診療を
行った場合の評価を見直す。
④ 同一建物において同一日に複数の患者に対して歯科訪問診療を行った場合等について、歯科訪
問診療料の適正化を行う。
⑤ 歯科訪問診療で求められる診療の重要性及び困難性を考慮し、歯科訪問診療で行う処置等につ
いて、評価を見直す。
⑥ 歯科の標榜がない病院に入院中又は介護保険施設に入所中の患者に対して、歯科訪問診療を行
う歯科医師が栄養サポートチーム等に加わり、その評価に基づいて歯科訪問診療を行った場合を
評価する。
と出ています。
 
これは、全体感としてより「摂食嚥下」「栄養」といった《食》の分野にフォーカスされていくことは間違いなさそうです。
 
また、かかりつけ歯科医というテーマは、患者さんの口腔内を定期的に管理していくという観点で考えれば
従来から重視されてきたテーマに他なりませんが、より一層重視されていくことと思われます。
 
このことは、メンテナンスや予防歯科に注力されてこられた歯科医院様におかれては、
合致した方向性であります。
 
また、その先に一生涯でのお付き合いという観点及び、
骨子の中での地域包括ケアという観点が重視されていることを考えれば、
今後訪問診療を無視して歯科医院経営を考える時代は
もう難しくなっているときがまさに今年来ているのではないかと思います。
 
私たちとしましては、昨年来、食支援というテーマでの
訪問歯科への取り組みをご提案してまいりましたが、
今後より一層強化していきたいと思っています。
 
日々の診療においては個別の点数に経営は
左右されることは間違いありませんが、
全体感としての国の方向性をきちんと把握しておくことは大切なことであり、
歯科医院の責務と思います。
 
船井総研の考え方としては、こういった国の方向性も十分理解、把握しつつ、
保険診療に負担をかけないという観点、患者メリットという観点から自費診療の強化も重要であると考えており、
今後もこのような方針でコンサルティングサービスを提供したいと考えております。

◾️この記事を書いたコンサルタント

松谷 直樹

プロフィール詳細

売上、利益の向上を大切にしながらも、「本当に患者さんに喜んでもらえる歯科医院作り」をコンサルティングの第一の目的に している。 「歯科医院は患者さんに喜んでもらえるためにある」「経営ノウハウは患者さんに喜ばれるような歯科医院作りのために活用するべきだ」という信念を元にコン サルティングを実施。 実現可能な提案と口頭だけでなく提案内容を実際に現場に落とし込み、実行するコンサルティングのスタイルを実行している。

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

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