評価制度を導入する際に考えておくべき3つのこと

2017年06月29日 (木)

コラムテーマ:
マネジメント(評価 モチベーション)

皆さん、こんにちは。
歯科医院経営コンサルティングチームの坂下大樹です。
 
6月、7月は賞与を支給される医院様も多いかと思いますので、
今回は、「評価制度を導入する際に考えておくべき3つのこと」をお伝えします。
 
そもそも、評価制度はどうやって導入すればよいのか?
どういう考えで設定すればよいのか?
 
という疑問に対して、1つの指針をお伝えさせていただきます。
私がお手伝いさせていただく医院に対しては、下記の3つの軸を
もとに、評価賃金制度を導入させていただきます。
 
1.個々人の能力に対する還元(定量的評価)
個人のスキルや資格などに対する還元を示します。
歯科医師や歯科衛生士であれば月次の点数も指標になります。
 
(還元方法)
月々の給与にて還元する制度を導入します。
医院にあわせてスキル評価を設定し、それに基づいた
ランク分けを実施し、技能手当などによって手当を付与します。
資格については、事前に資格ごとに手当金額を設定し、
その資格を取得した者に対して、資格手当として支給します。
チーフなどの役職手当などもこちらに準じます。
 
2.個々人のやる気に対する還元(定性的評価)
理念に基づいた行動に対して評価を実施します。
いわゆる評価制度というものがこちらに該当します。
 
(還元方法)
賞与にて還元を実施します。
評価制度の運用を考えると、夏季賞与は一律に設定し、
冬季賞与にて評価・還元を実施する方が運用しやすいです。
 
3.医院の数値目標達成に対する還元
毎年年初もしくは期首に設定した目標に対する達成度合いを
年間を通じて評価します。
こちらは、月次の売上目標だけではなく、売上目標を達成するために
必要であるさらに細かい数値目標を設定することをお勧めします。
自費売上でなく、自費補綴の本数を月10本、
1日来院患者数ではなく、キャンセル率10%以下(1日5人以下)、
のようにより具体的な目標を設定するほうがよいです。
 
(還元方法)
1年を通じて評価し、全体に対する還元を実施します。
例えば、達成度合いに応じて院内旅行の行き先が決定する。
新年会の食事のグレードが変わる、スタッフルームの設備が変わる、
といったよう非金銭的な還元方法が良いです。
 
さて、上記のように評価制度といっても、様々あります。
 
これらをバランスよく導入することで、スタッフのモチベーション向上や
組織力の向上につながります。
 
ただし、以下の3つを導入の前にできていない場合、
導入をしても運用に苦労し、頓挫してしまうケースが多くなります。
 
下記の3つを達成できているかを確認した上で、導入を検討してください。
 
1.業績が昨年対比で110%以上成長している(し続けている)
賞与にしても給与にしても、還元する原資は限られています。
業績が成長していない状況で還元を実施すると、全体に対して、
マイナスの還元をせざるを得なくなり本末転倒です。
安定的に還元するためにも、売上もしくは利益ベースで昨対110%は必要です。
 
また、人件費率についても25%に収まっている。
少なくとも30%以下になっている状態でないと、これ以上の還元は難しくなります。
 
2.経営理念が明確で、数値目標や行動目標が明確に示されている
評価制度は前述したように、数値目標や行動目標が明確になっている必要があります。
またその前提として、経営理念があり、医院がどの方向に向かっているのかを明確に
させていらっしゃいますでしょうか?
医院の目指すべき方向性が見えないまま評価を実施しても、うまくいきません。
経営理念や数値目標などを明確にし、経営方針発表会などを通じて、
毎年スタッフに示し続ける必要があります。
 
3.院長もしくは幹部がスタッフ1人1人とコミュニケーションをとることができる
評価制度の導入後、もっとも失敗に陥るケースが、個々人へのフィードバックが
できないことに起因します。
特に定性評価については、不明瞭な部分も多いため、個人個人へのフィードバックが
ないと、スタッフは院長(医院)に対する不信感が生じ、組織が崩壊することもあります。
評価制度の導入にかかわらず、組織としてうまくいっている医院は、院長とスタッフの
コミュニケーションが取れていることが重要となります。
少なくとも、月に1回は個人面談などの実施をおすすめします。
 
 
評価制度の導入には、いくつかの方法とその前提となる3つの重要な考え方があります。
 
導入は比較的簡単ですが、運用が難しいです。
 
これらを理解したうえで、導入を考える際は慎重に進めていただければ、と思います。
 
「当院では、導入をしても良いのか?」と気になる院長様は、
お気軽にご相談くださいね。
 
 
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
 

◾️この記事を書いたコンサルタント

坂下 大樹

プロフィール詳細

船井総研入社後、呉服業、クリーニング業、家事代行業といった女性が活躍する業界
でのコンサルティング業務に従事し、女性マネジメントの研究を行う。
現在は、歯科医院のコンサルティングに従事し、歯科衛生士採用のコンサルティング
をメインテーマとする。全国の歯科衛生士学校をまわり、学校現場のリアルな声を反
映させた採用ソリューションには定評がある。
また、業界未経験の歯科助手の教育やモチベーションが上がる組織作りを得意とし、
全国の歯科医院に笑顔を届けている。

◾️監修コンサルタント

歯科・治療院・エステ支援部
マネージングディレクター

松谷 直樹

2000年株式会社船井総合研究所入社。2004年より歯科コンサルティングに携わる。
開業クリニックから日本有数規模の医療法人グループまでコンサルティングを行っている。コンサルティングのモットーは患者様が「この医院を選んでよかった」と思っていただけるような歯科医院づくり。長期にわたるコンサルティング契約先が多く、15年以上契約している歯科医院もある。
歯科医師会、各種スタディグループ、各種歯科企業での講演実績多数。ビジネス雑誌プレジデント誌における歯科特集への寄稿、デンタルダイヤモンド誌での連載実績、クオキャリア、Ciメディカル、FEED等の各種歯科企業発行機関紙への寄稿実績あり。

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