歯科医院の生き残りをかけたブランド戦略とは

みなさま、こんにちは。
船井総合研究所歯科コンサルタントチームの
齋藤真緒(さいとうまお)です。
今回は歯科医院で実践できる「ブランディング(ブランドづくり)」の重要性と
その作り方についてお話したいと思います。
最近、クライアントの歯科医院様から
「うちの歯科医院のブランディングどうしたらいいかな?」というご相談を
受けることが増えてきましたので、皆様に向けて共有させていただきたいと思います。
長文になりますので、前編後篇に分けてお話します。
まず「ブランドづくり」は、ライフサイクル上で成熟期に位置する歯科業界にとって
欠かせない重要なトピックです。なぜかと言いますと、成熟期においては
「需要<供給」という需給バランスになるため、患者さんは自分の家に近いから
通っていたという心理状態から“自分に合った歯科医院に行きたい”という
心理状態にシフトしていきます。ですから、他の歯科医院と差別化するための戦略
(つまりブランディング)をとらなければ存続が厳しいからです。
そして、ブランドをつくることが医院の生き残り戦略だけでなく、成長し続ける
歯科医院であるためにも必要なのです。
では具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
最大のメリットは、業績にインパクトを与えられるということだといえます。
強いブランド力がある企業ほど、53%が好業績であるのに対して、そうではない企業では
好業績であるという割合が14.3%にとどまっているということが実証されています。
(出典『小さな会社を強くするブランド作りの教科書』より経営者1000人調査から引用)
ブランドが業績に好影響を与える理由としては次の3つが挙げられます。
(1)競合企業より当社を選択してくれるから
⇒ブランドが確立されていれば、例え品質が同程度であっても
 ブランドのある方を選択するという心理が働きます。
 つまり歯科医院であれば、近くにある歯科医院ではなく
「〇○で有名な▲▲歯科医院に行こう」という心理になるということです。
ブランディングに関する興味深いシーンをお話しましょう。
とある牛肉の品評会で松阪牛と静岡和牛の品評がされましたが、
どちらも同程度の品質・価格であった場合、松阪牛を選択したのは参加者の7割でした。
そして次に、(ここからが興味深い点なのですが)品評会では
静岡牛の方が品質が高いと評価されたのですが、その後に行われた牛肉のセリの場で
最高価格をつけられたのは、どちらでしょうか?
それは、なんと松阪牛だったのです。
ですから、歯科医院でもブランドが確立されていれば、当院を選択してもらえる
確率が高まるわけです。
(2)価格競争に巻き込まれないから
⇒ブランドが確立されていれば、患者さんの価格への受容度を高めることができる
 (たとえ高単価な自費治療であっても)ため、競合歯科医院との価格競争を
 避けることができます。
(3)口コミが広がるから
⇒既存患者さんが知人・家族・友人に足して自然に魅力を発信してくれるようになるため、
 常に新規の患者さんの集患が可能となります。つまり広告費用を投じなくとも、
 口コミで自然と評判が広がっていくのです。
ブランディングのメリットは上記3つの要因によって、業績を上げられるということに
尽きるでしょう。
さて、ブランドを作ることの意義についてはご理解いただけたかと思いますが、皆様の中には、
『うちは一般的な歯科医院だからブランドをつくるなんて難しいのでは・・・』
『規模の大きい歯科医院向けの話ではないか?』と感じられた方もいるかもしれません。
しかし、たとえどんなに規模が小さい企業体であっても地域で一番の〇○と呼べる商品を
磨きこめばブランドの種を育てることができます。
船井流でいうところの、地域一番主義(一つの分野で一番になり、他の追随を許さないほど
圧倒的一番の存在となること)です。
つまり地域で歯科医院をブランディングするためには、まず当院の顔となる診療科目を
一つ決めて、その診療科目で一番化することです。
(例えば予防型歯科医院、入れ歯治療を強化する歯科医院、マウスピース矯正特化歯科医院など)
さらに、地域における競合歯科医院がどれくらいその診療科目に注力しているのか
(ホームページ上でどれだけ訴求をしているかをみれば、判断ができます)を
把握したうえで、ブランディングに着手していく方がよいでしょう。
ジャングルではなく砂漠に種を植えて育てるようなものですね。
ジャングルにはすでに多くの植物が繁茂している状態(すでに競合が多い状態)のため、
差別化するのが困難ですが、草木のない砂漠(現状は競合が少ない状態)で種を植え、
その種が立派な草木に成長すれば、他者の追随を許さないほどの強力なブランドが
確立できるのです。
つまり歯科医院のブランディングの第一歩は、
・1つ診療科目を定めて地域一番化する
・競合歯科医院がまだ参入していない診療科目に注力する
といえます。
ここまで、ブランディングの概要をお伝えしてきましたが、
そもそも地域の中で当院をブランド化しようとする場合には、
歯科医院がどのような医院になりたいのか?というあるべき姿
(ブランドアイデンティティといいます)を作ることからスタートしなければいけません。
つまり医院の目指すべき道しるべです。
ブランドの根幹をなす、この考え方については次回以降のコラムにて
お伝えさせていただきます。
【執筆者:齋藤真緒】

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