「歯科業界の業績数値と財務」

皆さん、こんにちは。
歯科コンサルティングチームの磯野です。
さて、
今回は歯科業界の業績数値と財務についてお話しします。
まず早速ですが、歯科診療所数の推移が以下となります。
・個人+医療法人:68,384件(H22)→68,737件(H27) ※ほぼ横ばい
・個人:57,082件(H22)→55,244件(H27) ※年間400件弱の単調減少
・医療法人:10,670件(H22)→12,880件(H27) ※年間400件強の単調増加
(出典:医療施設調査より)
このようになっており、
トータルの件数では変わりませんが、
個人と医療法人の内訳を見る限りでは、医療法人化していっているケースが多いことが一つの仮説とされます。
続いて、各有資格者の人口推移です。
・歯科医師:101,576人(H22)→103,972人(H26) ※年間600人強の単調増加
(出典:医師・歯科医師・薬剤師調査より)
・歯科衛生士:103,180人(H22)→116,299人(H26) ※年間3000人強の単調増加
・歯科技工士:35,413人(H22)→34,495人(H26) ※年間200人強の単調減少
(出典:衛生行政報告例より)
詳細は割愛しますが、各職種において高齢化傾向にあります。
そして、各役職ごとの給与額ですが、
○個人
・歯科医師:5,762,739円(H25)→5,965,513円(H26)
・歯科衛生士:2,630,577円(H25)→2,693,659円(H26)
・歯科技工士:3,505,104円(H25)→3,733,194円(H26)
・事務職員:2,499,022円(H25)→2,534,611円(H26)
○医療法人
・歯科医師:5,895,427円(H25)→5,963,688円(H26)
・歯科衛生士:2,705,030円(H25)→2,842,835円(H26)
・歯科技工士:4,782,583円(H25)→4,604,201円(H26)
・事務職員:2,779,014円(H25)→2,747,822円(H26)
(出典:第20回医療経済実態調査より)
歯科医師、歯科衛生士に関しては概ね増加傾向にあり、
歯科助手や受付などの事務職員は、個人では微増、医療法人では微減といったところですが、
全体的にはどちらも微増している印象です。
最後に、損益状況についてです。
○個人
Ⅰ 医業収益:40,643千円(H25)→40,761千円(H26)
Ⅱ 介護収益:15千円(H25)→15千円(H26)
Ⅲ 医業・介護費用:27,916千円(H25)→28,030千円(H26)
Ⅳ 損益差額:12,742千円(H25)→12,746千円(H26)
○医療法人
Ⅰ 医業収益:80,274千円(H25)→80,832千円(H26)
Ⅱ 介護収益:1,071千円(H25)→1,208千円(H26)
Ⅲ 医業・介護費用:74,670千円(H25)→74,927千円(H26)
Ⅳ 損益差額:6,675千円(H25)→7,112千円(H26)
Ⅴ 税金:638千円(H25)→760千円(H26)
Ⅵ 税引後の総損益差額:6,037千円(H25)→6,353(H26)
(出典:第20回医療経済実態調査より)
個人では利益がほぼ横ばいですが、医療法人では増加傾向にあります。
この利益についてですが、
医業収入を伸ばすことも大切ですが、結局は最終的な利益が残らないと更なる発展のための投資ができません。
そうなると、営業利益率、経常利益率、そして最終的な税引き後利益率が何%自院では残っているのか、
大まかでも良いのでソラで言えるくらい、自院の状況を把握しておきたいですね。
そして、
この利益に関して、財務と深く関わってくるのが銀行の融資の問題があります。
融資には大きく長期借入と短期借入に分かれますが、
前者は開業時や増築、移転など節目のタイミングほどの頻度であるのに対し、
後者はセレック、マイクロといった設備投資の為の、主に攻めの借入に活用することがあるかと思います。
もちろんキャッシュを補う為の守りの借入もありますが、
大抵この時は苦しいフェーズでしょうからできれば借入は攻めで活用したいところです。
ところで、
融資の可否に関して銀行がジャッジをする訳ですが、
それでは、「何をもってジャッジをしているのか基準」はご存知でしょうか。
先述の利益?キャッシュフロー??マインド的な銀行との関係性???
実はいずれも基準の一つになっています。
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などのいわゆる財務諸表に加え、
戦略的・計画的な絵が描けているか、そして銀行との関係性も必要です。
さらに銀行内の評価においては、
上記それぞれの項目に評価の重み付けが存在していて、
融資対象のレベルも実は銀行内の基準で数段階に分かれる形で、明確に定められています。
ただ、そうは言われても確かに理屈は分かるがじゃあ具体的に、
「その財務諸表のどこを見られているのか、そもそも各書類は税理士に任せていて読み解けない・・・」
「戦略を描いた上で、どのようなレベルの借入返済計画を見られているのか分からない・・・」
「銀行との関係性と言っても何がポイントなのか分からない・・・」
などと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん中には、ご自身で資金繰り表などしっかりと作られて銀行交渉された経営者の方もいらっしゃるかと思いますが、
それでも何となく理屈は分かっていても、明確に物申すことはなかなか難しいかと思います。
【執筆者:磯野 幸史】

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