地域における歯科医院経営の成功ノウハウ


 
今回は、経営に携わっている先生は気にされているであろう、「地域(地方)における歯科医院経営の成功ノウハウ」について執筆させていただきます。

歯科医院における地域医療の実態と経営・マーケットの現状

今回は、地域の歯科産業におけるマーケット感と経営状況ということで、大きく「地域医療」と「地域におけるマーケット感と経営状況について」お伝えします。

地域医療の実態

現在、歯科医院における「地域医療」の実態は千差万別と言えます。
より具体的にお話しすると、「保険」「マーケット環境」この2つについて、歯科医院という業態では地域差が出ています。
「保険」という点で言うと、地域によって平均となる保険の点数は大きく異なります。
例えば、山形県などの東北エリアは平均保険点数が低い傾向にあります。
また、大阪府などの関西エリアは平均保険点数が高い傾向にあります。
つまり、保険点数を多くとれる地域とそうでない地域があるというのを皆さんにご理解いただきたいです。
また、「マーケット環境」という視点で見た際に、「地域医療」は千差万別となっています。
この理由は明白です。

  • 人口数
  • 年齢分布層
  • 所得
  • 生活特性

などの点が大きく地域ごとに異なってくるからです。
東京都と鳥取県を比べ、「人口」を始めとしたデモ変数が異なることから「マーケット環境」が大きく異なります。
そのため、歯科医院を経営する際には、地域特性を考慮しローカライズした施策が求められます。
端的にまとめると、都市部は「人口も多く・所得も多い」、地方は「人口も少なく・所得も少ない」特性があります。
それらの点を踏まえると、「地域医療」の実態としては、歯科医院は非常に千差万別状態であるといえます。

地域の歯科産業におけるマーケット感と経営状況

次は「マーケット感・経営状況」について端的に述べさせていただきます。
地域におけるマーケット感は「都市部ほど大きいマーケット」となり、地方になればなるほど「小さいマーケット」になります。
それは患者になりうる数が少ないという点が一番大きく、そういった点で見ると都市部は大きいマーケットで一見優位に見えます。
しかし、「経営状況」という側面から見ると、「大きいマーケット」である都市部の歯科医院の廃業は非常に目立ちます。
つまり、「大きいマーケット」≒「良好な経営状況」ではないということです。
この要因は「競合度合い」という点から見ると、「経営状況」との関連が色濃く出ます。
都市部である東京や関東のエリアでは、人口も多く「大きなマーケット」をして存在しているが、実際に存在する歯科医院の数も地方に比べると圧倒的に多く、歯科医師一人当たりの
患者数という側面で見た際に、全国でも最下位クラスという数字でもあります。
そして、地方の歯科医院でも競合の少ないエリアでは、歯科医師一人当たりの患者数も多くなり、経営環境としては「経営しやすいマーケット」なため、良好な経営状況の歯科医院も目立ちます。
そのため、「地域におけるマーケットと経営状況」から考えると、地方は決して悪くはありません。

地域(地方)における歯科医院の開業メリット・デメリットとコスト

歯科医院を地域開業することのメリット・デメリット

歯科医院を開業する際に「地方」ではどういったメリット・デメリットがあるか。
簡潔に整理して述べさせていただきます。
まずメリットの点からいうと、

  • 土地代が安い
  • 固定費が安い
  • 競合が少ないことが多い
  • 初期投資費が少なく済む
  • 築に際に簡単にできることが多い

などがあり、「投資」「コスト」部分が低くなるというメリットがあります。
それに対してデメリットを上げると、

  • 人口が少ない
  • 働き手が見つかりにくい/採用しにくい
  • 患者を集めることが大変
  • 地域によっては分院NGのエリアも存在する

などがあります。
特に地方で開業した際の一番のデメリットは「人財」の確保が非常に難しいという点です。
背景として地方から都市部へ若者は流出し、年々地方の歯科衛生士の数は減っていく傾向にあります。
歯科衛生士減少の流れの中で、地域で開業をする際には、それなりの獲得ハードルがのしかかるという、デメリットがあります。

都市部と地域を比較した際の開業コストの違い

開業コストという視点から都市部と地域を比較してみたいと思います。
実際の金額はさておいて、皆さんにどのコスト部分が大きく異なるかをここでお伝えしておきます。
開業コストとして、都市部と地域の比較をした場合は、

  • 土地代
  • 家賃
  • 人件費

この3つが大きく異なってきます。
特に「土地代」「家賃」などに関しては、同じ坪の広さで開業したとしても、地方と関東の都市部では数倍~数十倍の違いが出てしまいます。
つまり、都市部で開業した場合は圧倒的に開業コストが高くなる傾向があります。
それだけでなく、人件費で見た際にも都市部のほうが平均給与は高くなるため、給与支給額も高くなる傾向があります。
そういった場合には人件費といった部分でも大きな差が出ます。

地域(地方)における歯科医院の経営ノウハウ

マーケティング戦略(患者様:新規顧客・リピート、アップセルの高付加価値治療)

地方で成功するために重要なのは、「ファン化」することが非常に重要です。
理由は限られた患者数のため、しっかりと患者さんが深く医院にかかわってくれることが大切なのです。
そしてその「ファン化」は「リコール」「新規顧客の紹介」「自費治療」といった3つの点に表れてきます。
結論、地方で経営に成功するためには「リコール」「新患数」「自費治療」を強化することが重要なのです。
まずは「リコールを増やすこと」が非常に重要になるわけですが、リコールを増やす方法は2つのアプローチを強化することが重要です。

  • 治療終了の患者数を増やす
  • 治療終了者からメンテナンスへ移行する率を上げる

この2側面が重要です。
1つめの治療終了患者数についてですが、いつまでも処置を長く引っ張り中断に繋がっている場合はNGケースです。
しっかりと治療を完了させ、そのあとには治療ではなく予防のメンテナンスに通っていただくように医院のスタイルをシフトしていくことが大切です。
2つめは実際に治療が終了した場合に、メンテナンスへ来てもらう率を高めることについてです。
具体的な率を高める方法は2つです。

  • カウンセリングを行い、メンテナンスの重要性を伝える
  • 次回メンテナンスの仮のアポイントをとってしまうことです。

この2つの取り組みをすることができれば、メンテナンスへの移行率は高まります。
次は「新規顧客の紹介」についてです。
地域における新規患者の来院経路はおそらく3~5割前後が紹介や口コミが占めます。
これはコミュニティが狭いため、情報が出回りやすくシェアされやすいという特性です。
そのため、患者さんの友達やその家族をいかに引き込むかという点が重要です。

  • 紹介カード
  • 簡易的な検査特典

などを使用して、実際に来院している患者へのアプローチを行い、「患者の紹介」を医院側からマーケティングとして促すことが大切です。
3つめの「自費治療」についてです。
ずばり、成功している歯科医院は「自費治療」を受ける患者さんが非常に多いです。
そのため、医院の売り上げの30%以上は自費治療からくる収入であるのが成功している医院の特徴です。
地方で成功するためには、そこを目指す必要があるわけですが、実際に30%以上を出していくためのポイントをお伝えします。

  • 看板治療を決める(セラミック補綴/インプラント/矯正など)
  • 競合に勝てる部分を持たせる(価格/サービス/技術)
  • 院内掲示を整える(ポスターなど)
  • 十分なカウンセリングを行う

この4つが重要です。
「自費治療」を選んでもらうためには、まず「自院が押し出す自費治療は何なのか?」を決めることです。
そして、競合よりも「安く」するであったり、「技術で上回る」など、他院より優位性を示せる状態へともっていくことが更なるポイントです。
そして、その「自費治療」を患者さんに知ってもらうために、ポスターなどの掲示物を院内に整え、実際にスタッフからカウンセリングを行い、良さの説明を行っていくことで、「自費治療」は選ばれて行きます。

人材戦略(地域における歯科衛生士を始めとしたスタッフの採用と育成・マネジメント)

最後に、地域における「採用」「マネジメント」の成功のポイントをお伝えします。
まず、地方における衛生士採用は「非常に難関を極めます」。
対象となる衛生士が少ない上、人口は流出している地方が多いため、「採用」が難しくなる傾向にあります。
ただ「成功のポイント」も明確にあります。
地方における歯科衛生士採用で成功するためには、「衛生士学校」の攻略が非常に重要です。
特に行うことは、

  • 求人票の送付
  • 学校への訪問

などが非常に重要です。
いくら人口が流出する傾向があっても、地元で就職する新卒の歯科衛生士はたくさんいます。
そして、そういった衛生士を採用するためには早めに接点をもてるかがカギです。
就職先を選ぶ際に、1~3院ほどしか見学に行かないため、とにかく早くつながることが大切です。
そのため、学校訪問などを行い学校側と情報を交換したり、求人票を早く送ることで早く接点を持てるよう目指すことがポイントです。
そして、採用だけで終わるわけではなく、採用した後には教育やマネジメントがあります。
そして地方の特性を考えると、院長や主任自身が可能な限り教育やマネジメントすることをお勧めします。
外注できるサービスも少ないため、OJTなど制度や担当制の専任で教育している歯科医院が成功している傾向が多いです。
やみくもに、小さな外注サービスを利用する場合は質も下がるため、自院で取り組むことがオススメです。

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